ある父親が、家で子どもとこんな会話をしていました。
「ぼく、昨日から、鼻水が出て困るんだ・・・」
「そうか、鼻水か」
相手が言った言葉をそのまま使っています。なにも解決策を提示していません。ムダな会話のようですが、さらに続きをみましょう。
「前は、救急箱に入っていた風邪薬を飲んだらすぐ治ったんだけど」
「風邪薬が効いたんだね。眠くなったりしなかった?」
「ううん、別に・・・」
「別に、なにもなかったんだね?」
「そうだね。また、あの薬飲んでおくよ」
このように、相手が答えを持っている場合があります。この時の子どもは自分がこうしたいけど、お父さんに確認を取っておこうという心理です。
カウンセラーもオウム返しをよく使います。「大変なんですよ」と言ってきたら、「大変なんですね」
「別れてくれと言われたんだ」ときたら、「別れてくれと言われたんですか」と。相手の言葉をオウム返しするだけです。
こうした会話の中で、相手が自分で問題に気づき、自分で解決してしまうこともあるからでしょう。
「難しいんですよ」と言われて「簡単だよ」と言ったり、または「別れてくれと言われたんだ」と聞かされて「それはあなたの責任でしょう」などと言うのは、相手を否定し、相手のテンションを悪い方向に上げてしまいがちです。
つまり、相手から出た言葉以外を悪気がなくても持ち出すと、火に油を注ぐ可能性があるのです。
相手の言葉をそのまま使って、問いかけにする。これなら、誰でもとっさにできるのではないでしょうか。・・・ここから先は「口ベタ、弱気な人でもできる!交渉がうまくいく「問いかけ」の技術」をお読みください。
おすすめ度☆☆☆☆
オウム返しの会話術と聞くと何か難しいイメージを持ってしまいますが、相手の言葉をそのまま返すのは誰しも自然に行っているのではないでしょうか。
友達や恋人、家族との間で交わされる会話の中では、自分では気づかないけれどオウム返しの方法をけっこう使っています。
ただし、ビジネス交渉など緊張した場面になると、契約を取りたい!自分の側に有利な条件で話しをすすめたい!と焦ってしまいオウム返しの会話ができていないだけなのです。
ビジネス交渉や職場でのコミュニケーションの場で、オウム返しの会話術を上手に使えるようになれば、口ベタな人でもスムーズな会話ができるようになると思います。
今回紹介している「口ベタ、弱気な人でもできる!交渉がうまくいく「問いかけ」の技術」では、いきなり高等テクニックであるプロの交渉術を学ぶのではなく、コミュニケーションが下手な人でも実践できる「問いかけ交渉」を説明しています。
「問いかけ交渉」とは相手に問いかけてその反応を見てから次の行動を決める方法です。
「申し訳ありませんが、どうすればいいでしょう?」
「教えていただきたいのですが、どのような形がベストだと思っていらっしゃいますか?」
「ほかには、どんな案があるでしょうか?」
「私も提案してよろしいでしょうか?」
と謙虚な気持ちで相手に問いかけながら、相手から答えを引き出していきます。この方法なら気弱な人でも口下手な人でも話しを進めていくことができます。
「問いかけ交渉」の基本と、実践する上での注意点、交渉をスムーズに進めるためのポイントなどが、わかりやすく解説されています。
主張しなくても、交渉はできる!
より理解するために、相手を観察しよう
相手の満足する結末を確認しよう
「やはり、そうですよね?」は、共感の証
ゴールは、ひとつだけではない
こだわる理由をお互いに確認する
最後は、自分の意思で選択しよう
交渉事が苦手
気が弱くて自分の考えを主張できない
口ベタでコミュニケーションが下手
いつも相手に押し切られてしまう
話し合いのつもりがケンカになってしまう
緊張せずに会話をしたい
書籍タイトル:口ベタ、弱気な人でもできる!交渉がうまくいく「問いかけ」の技術
定価:1,429円