社長たるもの、社員のトップである以上、社内で最も見識がなければならないと思っているだろうか。社長は大学教授ではないのだから、必ずしも博文である必要はない。社員が知りたいことはそんなことではない。
社長はまず社員に伝えるべきことにテーマを絞って話すべきだ。社長が、社員に最も伝えるべきことは何だろう。それは「会社として何を実現したいか」であり、「実現に当たって社員に何を大切にしてもらいたいか」ではないだろうか。私はこれを企業理念と定義している。
企業理念とは、「会社として何を実現したいか」=目的・使命「実現に当たって社員に何を大切にしてもらいたいか」=価値観・手段を明らかにしたものであり、会社として実現を目指す終わりなき理念である。
社長が毎日社員に語るべきことは、企業理念に当たる「何を大切にしながら、何を目指すか」なのだ。社長や会社としては、ほかにもいっぱい伝えたい大切なことがあるだろう。企業理念だけで会社が維持成長できるといっているのではない。だがそれらは、もっとも伝えたいこと=企業理念が伝わってからでも遅くはない。
また、企業理念がしっかり伝わってからの方が、ほかの大切なことも伝わりやすくなる。なぜならそれらの多くが、企業理念という会社が目指す理想の実現のために、"つながっている"からだ。
社員に何を伝えるべきかがわかっている会社の社長は、徹底的に企業理念を社員に語っている。来る日も来る日も語っている。その会社の社員の覚えが悪いからではもちろんない。
企業理念はただ単に伝えるだけでは意味がない。その意味するところを社員一人ひとりが、自分の言葉で語れるくらい理解できていなければ伝わったとはいえない。自分の言葉で語れるようになれば、上司は部下に自分の言葉で語り継げるようになる・・・ここから先は「元気な会社に「理念あり」行きたくなる会社のつくり方」をお読みください。
おすすめ度☆☆☆☆
私はこれまでいくつかの企業で働きました。それぞれの会社には「企業理念」があったと思いますが、今でも覚えているのはひとつだけです。
その会社は毎日朝礼で「社是」を社員全員が復唱していました。毎日繰り返して読んでいたので今でも頭の中に残っています。
社長が社員に直接語りかける機会はどのくらいあるのでしょうか。企業の規模にもよると思いますが、年に数回程度だと思います。もちろん、毎朝社長が朝礼を行う企業もあるでしょう。でもそのときに企業理念について話す社長はどれくらいいるでしょうか。
社長が直接話しをしなくても、部長や課長、係長、支店長、店長、リーダーなど部下を指導する立場の人たちは企業理念について語っているでしょうか。もし、日々の業務連絡や売上、成績などの報告で終わっているなら注意が必要です。
今回紹介している「元気な会社に「理念あり」行きたくなる会社のつくり方」では「会社が社員に伝えたいこと=企業理念」は何度も繰り返し語ることが重要だと説明しています。
人間の記憶は1時間で42%、1日で74%、1ヶ月で80%も忘れてしまうそうですから、社長は企業理念を社員に毎回語る必要があるのです。
会社と社員双方が同じ理念を共有することで、社員ひとりひとりが自分は何をしなければならないのかを自主的に考えるようになるのだそうです。
会社として実現したいこと、大切にしていることを社員に浸透させ、共有することで「社長が経営の意思決定でまよわなくなる」「上司が部下の指導で迷わなくなる」「社員が自律的に行動し、生き生きと働くことができる」「社内の意思が一つになり、とてつもないパワーを発揮する」「顧客や社会に理解され支持されることでブランド化する」などの効果を得ることができます。
「元気な会社に「理念あり」行きたくなる会社のつくり方」では、「企業理念の明確化」「企業理念の伝え方」「理念の見直し」「企業理念に込めるべきもの」など、項目ごとに詳しい説明が掲載されています。成功事例や失敗事例も載っているのでとても参考になります。
社長が毎日おんなじことを語らなかったことで起きた悲劇
人はどうすれば生き生きと働けるか
なぜ指示待ち人間ばかりになってしまうのか
会社として大切にしたいことを共有するために
社長の話を伝えることを邪魔する三つの変化
社長の話はいつも同じか、違うのか
理念を定期的に見直している会社
「これだけは譲れない」を理念の価値観とする
まず社長自身が理念を語り続ける
企業理念について知りたい
社員に企業理念を浸透させる方法を知りたい
企業理念を社員と共有する方法
社長の話しがつまらないと感じてしまう
会社の理念に違和感を感じている
書籍タイトル:元気な会社に「理念あり」行きたくなる会社のつくり方
定価:1,300円