当面は変動金利を利用して、金利上昇の直前に固定金利に切り替えればリスクがなくおトクと考える人がいますが、このギリギリまでトクを取るプランは実現可能でしょうか。
結論から言うと、銀行の手続き上のシステムと長期金利の動きを考えると、実現性が低いプランです。
通常、銀行の固定金利型の定期用金利が発表になるのは月末で、変動からの切り替え手続きをして固定金利が実行されるのは原則として翌月の返済日から。
つまり、固定金利が上昇したのを見てから、変動金利上昇したのを見てから、変動金利から切り替えをすると、すでに高くなった金利が適用され、あまりおトクにならないのです。
また、長期金利は短期金利より先行して上がる傾向があるため、住宅ローンの変動金利が上がったときには、固定金利は先行して上がっていることが多いのです。
ここまで繰り返し変動金利はお勧めできないと書いてきました。数年後に退職金で完済できる人や、借入額が少ない人、金利が上がったとき数百万円単位で繰り上げ返済できる人などは利用価値があるかもしれませんが、多くの人にはお勧めできません。
では、どの金利タイプを選ぶといいのでしょう。現在の金利状況から「10年固定金利」が割安でお勧めです。このタイプは全国どこの銀行も扱っていて競争が激しいため、金利引き下げが年々拡大しているのです。
私がFPになったばかりの1996年は、銀行の10年固定が安くなったと借り換えブームが始まった頃。当時は金利引き下げなどありませんでしたから、安いといっても基準金利3.7%で引き下げなし。5%以上の旧公庫ローンや年金融資を持つ人たちが、借り換え先に使っていました。
その後、住宅金融公庫の廃止に伴って、銀行間の競争が激化し、金利引き下げが導入され、引き下げ幅が拡大したのです。
最初は基準金利から0.2%引き、次に0.7%引き、1%引きとエスカレートし、現在はメガバンクでは1.7%引きとなっています。頭金20%を用意できる人には、さらに0.2%上乗せの1.9%引きという状況です。
その時々の基準金利や銀行にもよりますが、10年固定の引き下げ後の金利が2%前半というのは、期間に対してとても割安なので、利用価値は高いでしょう。・・・ここから先は「住宅ローンはこうして借りなさい」をお読みください。
おすすめ度☆☆☆☆
生涯で一番高い買い物が家といわれています。一戸建てにしても、マンションにしてもローンを組んで購入する場合、返済期間は長期におよぶため、金利には敏感になります。
「固定金利と変動金利」どちらが有利か?についても様々な意見があり、住宅ローンを考えている方の悩みの種でもあります。
今回紹介している「住宅ローンはこうして借りなさい」は、住宅ローンの金利、資金計画、借り方と返し方、ローンのリスク、、見直し、繰り上げ返済など住宅ローンに関する情報がひととおり掲載されています。
私が読んだのは「改訂3版」なので、内容が少し古くなっています。現在の最新版は「改訂5版」となっているので、最新版を購入するようにしましょう。
「住宅ローンはこうして借りなさい」では固定金利を勧めていますが、過去10年間では変動金利のほうが有利な状態でした。
今後金利がどの程度上がるのか先行きは不透明ですが、住宅ローンを組む人は特定の情報だけで判断をするのではなく、いくつかの情報を集め総合的に判断をする必要があります。
「住宅ローンはこうして借りなさい」もそのうちのひとつと位置づけすれば、参考になる本だと思います。
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書籍タイトル:住宅ローンはこうして借りなさい
定価:1429円(税抜き)