「受領は倒るるところに土を掴め」とは?
受領の強欲さをあらわした「受領は倒るるところに土を掴め」とはどのような意味でしょうか?また、この話しが収録されている説話集の名称も答えてください。
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「受領は倒るるところに土を掴め」は、「今昔物語集」の中に登場する、信濃国司 藤原陳忠(ふじわらののぶただ)に関する説話です。
信濃国司の任期を終え京に戻る途中の藤原陳忠は、馬もろとも谷底に転落します。心配した郎等が縄を下すと、手に平茸(ひらたけ)を持った陳忠が上がってきました。
郎等が不思議に思い「その平茸は何ですか?」と陳忠に尋ねると、「転落の途中にひっかかった木の枝にたくさんの平茸が生えてたので、取れるだけとってきた」と説明したのです。
苦笑いする郎党に向かって陳忠は、「受領は倒るるところに土を掴めと言うではないか。宝の山を目の前にしてこれだけとは損した気分だ」と悔しがったというお話しです。転んでもただでは起きない受領のしたたかさと貪欲さをあらわす逸話です。