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歯周病の原因

一昔前まで歯周病と虫歯の違いは、あまり明確にはされていませんでした。さらには歯が抜け落ちてしまう病気のことを"歯槽膿漏"と称していたので、虫歯と同種の症状と解釈され、誤解を招く要因ともなっていました。


では、歯周病と虫歯の違いとは何でしょう? 「虫歯」とは、歯自体が細菌に侵され蝕まれていくのに対し、「歯周病」とは、歯全体を支える地盤のような役割を果している「歯肉」と呼ばれる部分が損傷を受け、その影響で支えを失った歯が次から次へと抜け落ち、全体のおよそ半数近くの歯を失ってしまう病気のことを言います。


また歯周病と虫歯では、その原因となる細菌の種類、特性も大きく異なっており、主に歯周病をひき起こす細菌は、プラークと呼ばれる歯垢が歯肉縁上にたまってしまうことにより発症します。歯周病が悪化すると、その後の処置が非常に困難となり、日常生活を送る上でも大変な支障を強いられることになってしまいます。


歯周病の症状は、その段階によってさまざまですが、典型的な例としてはまず歯と歯肉の間の歯周ポケットと呼ばれる溝の部分に細菌が住み着き繁殖を始め、歯肉に腫れなどの炎症がでる"歯肉炎"が起きます。


さらに進行するとプラークは増殖し、歯石が現れ出します。この状態になると既に歯槽骨にまで影響を及す"歯周炎"の段階へと進み、歯茎からの出血や膿みができるなどの症状が出て、口臭もひどくなります。


一昔前に歯槽膿漏と呼ばれた病名は、この歯周炎の末期症状のことを指します。このように現在では、歯肉炎、歯周炎が直接的原因で起きる症状を、すべて引っ括めて"歯周病"と呼ぶようになりました。


歯周病と虫歯、その原因となるメカニズムや病状に違いはあれども、いずれにせよ口の中で繁殖している細菌のひき起こす悪影響のせいで、歯が抜け落ちてしまうことには変わりありません。そうならないためにも、常に口内の衛生状態を清潔にし、毎日歯磨きをするなど、あたりまえとされる生活習慣の徹底を怠らないようにしましょう。