退職金にかかる税金・住民税・所得税
勤務していた会社により退職金が支給される場合とされない場合があります。中小企業の中には退職金規定がなく、退職金のでない会社もあります。勤続年数が長い場合、途中で退職金に関する規定が変わっていることもあるので、退職する前に会社規定を必ず確認するようにしましょう。
退職金が支給される場合、金額や支払い時期もすべて退職金規定に記載してあります。規定を読んでもよくわからないときは、在職中に会社の担当者に確認してください。
退職金に関する規定があるにもかかわらず、会社が退職金を支払わないときは、労働基準監督署に賃金不払いの申請をすることになります。申請を受けた労働基準監督署では、調査をして申請した内容が事実であれば会社に賃金の支払い命令を出します。それでも、会社が退職金を支払わない場合は、民事訴訟を起こすことになります。
■退職金と税金
退職金は永年会社に貢献したことへの報酬なので、税制面で優遇措置がとられています。勤続年数に応じて退職所得控除額が決まっていて、勤続年数が長いほど控除の額が大きくなります。
控除額は以下の計算で求められます
勤続20年以下・・・勤続年数×40万円(80万円以下はすべて80万円で計算)
勤続20年以上・・・(勤続年数-20年)×70万円+800万円
勤続10年の場合、退職金が400万円以下ならすべて非課税となります。
勤続年数10年の場合、退職金が500万円なら(退職金500万-控除額400万円)=100万円
この100万円に所得税と住民税がかかります。所得税と住民税の詳しい計算方法はここでは省略します。
退職金が支給される場合、所得税と住民税の支払い義務が生じる人には、退職金からその額が天引きされて支給されます。ただし、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出したがどうかで確定申告をするかどうかの違いがでてきます。
◆「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出したとき
上記の計算式にあてはめ、会社が税額を計算してくれます。その税額を退職金から引いたあとの金額が退職金として支給されます。したがって、退職金に関しては、確定申告をする必要はありません。
◆「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していないとき
退職金の全額に一律で20%の所得税がかけられ税額が計算されます。その税額を退職金から引いたあとの金額が退職金として支給されます。
つまり、上記の控除額を考慮して計算していないため、税金が高くなります。払いすぎた税金を還付してもらうために確定申告をする必要があります。確定申告をしない場合、払いすぎた分は戻ってこないので損をすることになります。
一般的に、所得税と住民税の支払い義務が生じる人には、会社から「退職所得の受給に関する申告書」が渡されるので、記入して会社に提出することになります。
もし、所得税と住民税の支払い義務が生じるにもかかわらず、会社が「退職所得の受給に関する申告書」について何も言ってこないのであれば、退職前に会社に確認して、「退職所得の受給に関する申告書」をもらうようにしましょう。