覚一本(かくいちぼん)
室町時代に完成した本。琵琶法師の中心的人物であった明石覚一(明石検校)が口述したものを記録として残しました。弟子たちが写本し、それが現存まで伝わっています。
平家物語は琵琶法師たちが諸国を巡り伝承することによって広まりましたが、琵琶法師の流派によって語る内容に違いがあります。
その中でも明石覚一の記した覚一本(かくいちぼん)が最も信頼の置ける史料とされ、平家物語の基本書となっています。
覚一本の原本は確認されていませんが、弟子たちの写本は現存しており、龍谷大学図書館、高野本(高野辰之氏が所蔵していたもので、現在東京大学国語研究室蔵)、福岡県の高良大社、京都の寂光院で所蔵されています。