琵琶法師と耳なし芳一
琵琶法師とは盲目の僧で、琵琶を伴奏しながら歴史、民間伝承を語る人々です。琵琶法師の演目にはいろいろなものがありますが、その中でも人気を集めたものが「平家物語」です。
「平家物語」は、琵琶法師が諸国を巡り伝えたことで全国に広まっていきました。琵琶の悲しげな音色と平氏の栄枯盛衰が重なり人々の涙をさそいます。
琵琶法師といえば「耳なし芳一」が有名ですね。昔から伝わっている怪談話で「耳切り団一」とも言われます。日本の各地に伝わる怖い話を集めた小泉八雲の「怪談」の中でも紹介されています。
平家物語の弾き語りが得意な琵琶法師の「芳一」は、演奏を依頼されある屋敷にでかけます。そこには高貴な姿の人々が集い「芳一」の演奏する平家物語に感動し涙します。
毎夜、その屋敷に招かれ弾き語りをする「芳一」ですが、そのことに不信をいだいた阿弥陀寺の和尚が調べると「芳一」が訪れていた屋敷は平家の墓所だったのです。
このままでは平家の怨霊に憑かれてしまうと考えた和尚は「芳一」の全身に般若心経を書き、怨霊が近づけないようにするのですが、耳だけ書き忘れたため、怨霊に耳をもぎ取られてしまうというお話しです。