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野山獄(のやまごく)と岩倉獄(いわくらごく)

野山獄(のやまごく)と岩倉獄(いわくらごく)
*野山獄と岩倉獄

アメリカへの密航に失敗した吉田松陰と金子重之輔は長州藩に送られ、罪人が収容される野山獄(のやまごく)と岩倉獄(いわくらごく)に投獄されます。


野山獄と岩倉獄は萩の城下にある獄舎で、武士の身分を持つ者は野山獄、武士以外(町人や商人、百姓など)は岩倉獄に入れられます。


野山獄と岩倉獄は元々、長州藩士である野山六右衛門と岩倉孫兵衛の屋敷でした。両家の屋敷は、道を挟んで向かいあっていましたが、二人の間に何らかの紛争が起こり、岩倉が野山宅に押し入り六右衛門を斬り殺してしまったのです。


捕えられた岩倉孫兵衛は斬首となり、野山家、岩倉家ともに取りつぶしとなります。その後、両家の邸宅跡に獄舎が建てられ、野山邸跡には武士が入る野山獄が、岩倉邸跡には身分の低い者が入る岩倉獄が建てられたのです。


野山獄は、北と南にそれぞれ6房ずつ(計12房)の獄舎がありました。松陰は北側の房に収監されます。


野山獄の房は独房で、4畳ほどのスペースがありました。房の出入口は鍵がかけられておらず、敷地内であれば移動は自由でした(施錠されていて自由はなかったとする説もあります)


一方、金子重之輔が投獄された岩倉獄は、士分以外の身分の低い者が入る獄舎(下牢)であったため、詳しい記録が残っていません。房は独居房ではなく雑居房で、野山獄よりも環境が劣悪だったそうです。