太原雪斎(たいげんせっさい)と南渓瑞聞(なんけいずいもん)
おんな城主直虎がもっと楽しくなる!小ネタ・豆知識
今川義元のブレーンとして活躍した太原雪斎(たいげんせっさい)と、井伊直虎の大叔父で龍潭寺(りょうたんじ)の住職 南渓瑞聞(なんけいずいもん)はともに臨済宗の僧です。
臨済宗は禅宗(坐禅を修行の基本とする仏教集団)の一派で、中国で学んだ栄西(えいさい)が鎌倉時代に日本に伝えたとされています。
臨済宗は武家に好まれ、鎌倉幕府は中国に習い五山制度を導入して臨済宗を保護しました。室町幕府も五山十刹(ござんじっさつ)の制度を定めています。
■京都五山(南禅寺を別格として、天竜寺、相国寺、建仁寺、東福寺、万寿寺)
■鎌倉五山(建長寺、円覚寺、寿福寺、浄智寺、浄妙寺)
室町時代中期以降になると五山派にかわり、幕府など時の権力者の庇護を受けずに独自の布教を行う林下(りんか)と呼ばれる宗派の活動が活発化します。
この林下の代表的な寺院が、臨済宗妙心寺(みょうしんじ)と臨済宗大徳寺(だいとくじ)です。
五山派の多くの寺院は荘園からの収入を基盤にして活動を維持してきましたが、室町時代後期(戦国時代)になると、武士による荘園への侵略が日常的に行われるようになり財政が苦しくなります。
林下は下剋上の世で力をつけてきた地方の戦国大名や国人衆と結びつきを強め、その勢力を拡大していったのです。
太原雪斎と南渓瑞聞はともに林下の妙心寺派に属しています。
井伊氏が今川氏に従属したことで、同じ宗派である太原雪斎と南渓瑞聞も接触の機会が増えたものと推測されますが、具体的にどのような接点があったのか詳しい記録は残っていません。