長岡監物に宛てた西郷の手紙 土中の死骨(どちゅうのしこつ)
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入水事件で一命をとりとめた西郷吉之助(隆盛)は、奄美大島送りとなります。
このとき西郷は知人の長岡監物(ながおかけんもつ)宛てに書簡(手紙)を書いています。
長岡監物は熊本藩の家老をつとめた人物で、熊本藩攘夷派の中心人物のひとりです。
西郷は江戸で活動していたときに長岡と親交を深め、月照を薩摩に逃がすときも長岡へ助力を依頼したとされています。
「私事土中の死骨にて、忍ぶべからざる儀を忍び罷(まか)り在り候次第、もはや御聞き届け下され候はん。天地に恥かしき儀に候えども、今更に罷り成り候ては、皇国のために暫く生を貪り居り候事に御座候」
「わたしは死んで骨になったはずなのに、生きながらえ世間に知られぬよう忍んでいます。恥ずかしいことではありますが、こうなったからには国に尽くすためしばらくは生きようと思っています」
月照だけ死なせてしまった苦しい心境を吐露するとともに、生きて国に尽くすとも述べています。島送りとなった西郷が再び政治の表舞台に復帰するのは3年後のことです。